たこみんFM 2回目は『ママはキミと一緒にオトナになる』をご紹介しました



https://open.spotify.com/episode/6aXA7feAdoSb9gT7I7lnzx?si=-p5chxt-TH6AxNXjQJhxMQ










放送2回目にして、理科っぽさが表面化していない本を選びました。







今回ご紹介したのは『ママはキミと一緒にオトナになる』です。










出版社のページはこちらです。














番組のゆるい文字起こしを載せておきます。




音声はstand.fmなど、Podcastから配信されています。










オープニング





富山佳奈利の理科本クラブ。




こんにちは。サイエンスライターの富山佳奈利(とやま かなり)です。




この番組では理科好きの私が、ぜひあなたにも読んで欲しい本を毎週一冊ご紹介いたします。




ご紹介する本のジャンル発売時期、書籍やムック、雑誌といった形態にはこだわりません。 「面白い!あなたにもぜひ読んで欲しい!」そう思った本たちを大切なあなたに、ふんわりとお引き合わせする番組です。




早いもので、2回目の放送となりました、どうぞ、よろしくお願いいたします。













タイトル紹介





第2回目にお引き合わせする本は、 『ママキミと一緒にオトナになる』です。




タイトルの通り、子育てのエッセイ本です。










著者紹介








著者は ライターで編集者の佐藤友美さん。元々、ヘアメイクなどのジャンルを主戦場に、雑誌やムックの制作、あと、幅広い現場経験を買われて、美容業界向けのセミナー講師などもされていました。その後、グっと活動範囲を広げられて、インタビュアーやブックライター、そして、オウンドメディアの編集長として活躍されています。
佐藤さんは『さとゆみ』の愛称で知られる方なので、私もさとゆみさんとお呼びしたいと思います。







実は、さとゆみさんが、ブックライターのお仕事をされるようになった頃、くらいからの知り合いなのですが、 改めてこの本の感想をお伝えする場がこの番組になりまして。んー、なんというか嬉しい、恥ずかしい、緊張感で収録しております。







この本は、「あとがき」までを入れて、277ページになります。会話文がたくさん出てくるので、思いのほか、読みやすい本じゃないかなーと思いました。







読書が苦手だなという方は、さとゆみさんと、それからメインの登場人物である息子氏、それぞれの会話を色違いのマーカーで塗ってみて、そこだけ読んでいっても十分楽しめるなと思います。







もしくはですね、会話文を一切すっ飛ばして、まあ、いわゆる字の文っていうんですが、括弧でくくられていない部分だけを読んでみても、また違う面白さがあるかなと思います。










この本を選んだ理由








さて、この本を紹介しようと思った理由ですね、これはとても単純です。
もう、この本がめっちゃ理科、サイエンスな本だなって直感したからなんです。










「え?いやいやいやいや、友達の本の宣伝でしょ」っていうツッコミを入れたそこのあなた!なんか、魂の汚れた大人になってはいないでしょうか?(笑)




なぜ、サイエンスなのかっていうところ、説明しますね。







科学的な活動の一番の基本は何だと思いますか?
専門に分かれてくるとね、いろいろあることはもちろん承知しているのですが、集めて集めて、比べて、分ける。 これが科学の基本です。




昆虫を例にするとわかりやすいでしょうか、昆虫の標本箱見たことあると思うのですが、どうでしょう。おんなじ種類の虫を、これでもかって、大量に集めて、標本にして並べてありますよね。




あれは、ただ単に「虫取りが上手で、たくさん捕まえたことを自慢するのだ」というための行為ではございません。同じようなものを、まずはたくさん集める。 次にそれらを比べて分ける分類するんですね。そうやって、細かく分類がされて、名前が付くと『わかった』が、一つ増える。




これが集める対象が木の葉っぱでも、キノコでも、隕石でも、化石でも鳥や魚でも基本は同じなんです。




集めて集めて比べて分ける。今回、さとゆみさんが3年間集めてきたものが、たまたま息子氏との間にあったエピソードだったっていうことなんですね。







標本箱の代わりに、まあ、今時ですからね。きっと、クラウドにたくさんのメモ書きとか、写真とか、データーとかが 保存されてるかもしれません。その中で比べて、まとめて、これぞという切り口で発表されたエピソード。これが、理科の視点から見ても、十分に興味深い内容でした。







個々のエピソードは、 子供を育てたことがある人にとっては、懐かしいものかもしれないですし、私みたいにね、子供を持ったことがないという者には、まるっと、未知との遭遇かもしれません。で、正直なところを申し上げます。と、まあね、(私自身は)『自分だけは生まれた時から大人だったもん』と言ってはばからない人間でございます。なのですが、息子氏とさゆみさんのやり取りがですね、次元上昇と容積の拡大っていう観点から見ると、これがなかなか面白いぞと思いまして。その面白さを感じる方法をですね、是非、伝授したいと思います。










ざっくりな紹介です








この本に出てくるのは、




著者であるさとゆみさんと、さとゆみさんの御子息、息子さんですね。本文中は『息子氏』というふうに書かれているんですが、 彼が小学校3年生から5年生の間のお話になっています。







ちょうどですね、小学校3年生の彼が感じているであろう世界が二次元。XとYの座標で表すことができる世界だと。すると、4年生では、それに高さが加わった三次元で、5年生になってくると、時間軸を入れた四次元に自然に展開していっているように見えました。ま、もちろん大雑把な流れなんですけどね。







で、それから、この息子氏にとっての世界を彼を中心とした球体っていうのかな。ボール(球)でイメージしてみましょう、と。










そうすると、小学校3年生の彼の世界っていうのは、きっとおそらく、彼が真ん中に立つと、 ドッジボールのような、くるっとまん丸で結構丈夫な殻に包まれた世界の内側のような感じがするんですね。







ところが、4年生に上がると、あのわかるかな。あの、駄菓子屋さんなんかで売っているプラバルーンっていうおもちゃ。短いストローの先になんか、ねばねばした透明なやつを丸めてくっつけて、で、そーっと息を吹き込んで 膨らませる。風船のようなシャボン玉のような、ちょっとビニールの臭いのきついおもちゃですね。







これがまた、まん丸に思った通りに膨らまないところが難しくもあり、面白くもあり。あと、そのビニールの素材の 微妙な厚さの加減で、虹色の屈折が見えて、すごく美しいんだけれども、 すぐに壊れてしまう。脆い。はい、風船そんなイメージがありました。







で、そんな彼が5年生になったとき、どんな世界観になっているのか、それは是非 本文を読んでいただいて、もしよかったら、私にも感想を共有してほしいなと思います。







それとですね、サイエンスの中でも難しい問題、観察者が観察対象に影響をどうしても及ぼしてしまう。







これについても、そうだよねっていうエピソードが綴られています。真っすぐな母の愛情と「真っすぐな観察が」っていうと、ちょっと残酷になってしまうんですが、彼を見つめる眼差しと。それと、彼のまっすぐな疑問が交差するとき、どんな化学反応が起こるのか。ぜひ、これは、仮説を立てながら、ちょっと時間をかけて読んでみてほしいなと思う部分でした。










「今日の128ページ」のお時間です








それでは、今日の128ページの時間です。










せっかくなので、 ご紹介した本の128ページ目には何が書かれていたのか、これを毎回チェックしていきたいと思います。







今回は、 4年生の君とママというテーマの書かれている場所でした。ちょうどこのページから進学塾、その後というエピソードが始まります。まだ、彼は 自分の心情を伝えるのに、十分な語彙を持っていない、そんな年頃のようでした。










精一杯ママに窮状を訴える場面は、自然とね、首、肩、腰に力が入ってしまいまして、「もうそれは、こう言えばいいんだよ」と教えてあげたいような気持ちになりました。







で、そういうやり取りを重ねて、彼の世界にはたくさんの補助線が引かれていきます。切り出された世界には、それぞれ名前があること、 そのコレクションを増やすことで、人生が豊かになっていくことを知るんだろうなあというのを少し羨ましい気持ちで読みました。







エンディングと次週予告








そろそろ時間ですね。







本日は、『ママはキミと一緒にオトナになる』をご紹介しました。







来週は ウラケン・ボルボックスさんの絵、船山信二先生の監修、『すごい毒の生きもの図鑑 わけあって、毒ありです。』 をご紹介いたします。どうぞ、お楽しみに!







お相手はサイエンスライターの富山佳奈利でした。







文書商 真昼の月

サイエンスライターの富山佳奈利です。お仕事の幅が広がってきて現在の肩書の中ではちょっと収まりきらなくなってきたので、屋号を新しくしました。引き続き、どうぞよろしくおねがいいたします。